The Cat's Pajamas

旅と読書をこよなく愛する平成育ちの猫好きです。自分の好きなことだけをのんびりぽつぽつ紡いでいく趣味ブログを目指しています。

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『誰が世界を翻訳するのか/ 細胞の中の幽霊』(金沢21世紀美術館)感想:美術館巡り

以前の記事でも紹介しましたが、金沢の町には”金沢21世紀美術館”という現代美術館があります。地元が近いということもあり、子供のころ私が生まれて初めて訪れた美術館は、この金沢21近美でした。

kinako18.hatenadiary.com

今回はシルバーウィークを利用し、家族で日帰り金沢訪問致しました。勿論、美術館にも足を運びましたので、簡単に美術館訪問の感想をまとめたいと思います。

www.kanazawa21.jp

1、金沢21世紀美術館という”作品”

今回は金沢観光スポットを歩き回った挙句、閉館1時間前に美術館に到着し、急ぎ足で展覧会を観賞することになりました。よって我々はものすごい速足で切符売り場に直行したのですが、建物の中が入り組んでいてチケット売り場に全然たどり着けないんですよね。展覧会も同様で、一体どこに何の作品があるのかよくわからないというのが感想でした。

ここで注目したいのは金沢21世紀美術館という”建物”です。この美術館は、世界で活躍している日本人建築家の妹島和世氏の建築で知られています。とても変わった円形の外装です。しかし、中身もまた迷路のような入り組んだフシギ構造をしています。

今回は時間がなく、ゆっくりと観賞することができなかったため、迷子になった挙句、いくつかの展示を見逃すという悲劇に見舞われましたが、これからこの美術館を訪れるという方には、ぜひ時間に余裕をもって建物そのものを楽しむという気持ちを持ってほしいと思いました。

2、安定の常設展示

金沢21世紀美術館といえば、常設展示(いつも変わらないでおいてある作品群)の一つ、レアンドロ・エルリッヒの『スイミング・プール』が印象的という方も多いと思います。

他にもパトリック・プランの『緑の橋』ヤン・ファーブルの『雲を測る男』など、一度見たら忘れられない展示が盛り沢山です。

そしてこの常設展示の作品群は、展覧会の作品群と並列に置かれているため、両方を合わせて鑑賞するスタイルになっています。つまり、見るものが多いので、自分の興味関心にあった作品が見つけやすく、時間つぶしにも最適ということです。逆に私のようにぎりぎりの時間に訪問してしまうと、損をしてしまうと思います。繰り返しますが、時間に余裕をもって美術館訪問することをお勧めします。

3、『誰が世界を翻訳するのか』感想

この展示会のタイトルに含まれる”翻訳”は、以下のような意味合いを担っています。

20世紀後半までの西欧中心史観が見直されたポスト・コロニアル批評を経て、現在、多くの表現者が西欧によって翻訳された言葉や振る舞いでなく、自らの言語で政党に理解されるための翻訳行為を取り戻そうとしています。[…]「誰が世界を翻訳するのか」は、見る者との間に共感関係を創出する、展覧会という創造の場において、異なる視点からの表現を捉え、文化(作品)が世界を翻訳することを見届ける試みとするものです。 

よって、この展覧会の作品はシンガポールやフィリピン、ドイツやガーナを出身とするアーティストによって作られたものばかりです。個人的に印象に残ったのは、エル・アナツイの巨大展示でした。

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これは近くでよく見ると、瓶の金属蓋を利用した大型のタペストリーになっています。いわば美術館を出てしまえば、ただのゴミをつなぎ合わせただけのものになります。しかし、その色遣いや形状において、一目見て鑑賞者を圧倒する迫力のある作品になっていると感じました。

ちなみにこの展示会の挿絵に使用されているこちらのエル・アナツイの作品は、本展示会では見ることができません

また、チラシの表に使われている作品もエル・アナツイのものですが、本展示会ではみることができません(よく見ると”参考図版です”と記してあります)。

エル・アナツイに対する興味がわいたという点では良いきっかけになりました。が、展示していない作品をここまでプッシュしていいんですか?学芸員さん…という残念な気持ちになったことは、この記事だけに留めておきましょう。こういうことは予め知っておいた方が良いかもしれません。ちなみにエル・アナツイは以前、神奈川県立近代美術館で個展を行っていたようです。

www.moma.pref.kanagawa.jp

他には、マリア・イザベル・ガウディネス=アキリザンの『もう一つの国』という作品やペドロ・レジェスの『人々の国際連合(p NU)ドローンの鳩』などが印象的でした。

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近くでよく見ると、家の形になっている段ボールで形作られています。

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このペドロ・レジェスの展示も面白そうでしたが、時間がなくてしっかりと映像を見ることができませんでした。無念です。

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4、今なら『細胞の中の幽霊 ghost in the cell』が必見

美術鑑賞にあるまじき行為、それは閉館時間ぎりぎりの強行突破。そんな中、ひと際多くの鑑賞者で賑わっている展示室がありました。それが、これ『細胞の中の幽霊 ghost in the cell』です。中に入ると、天井からは長い紐が大量に垂れ下がっており、学芸員さんから、紐にぶつからないようにと注意されます。

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暗闇の中プロジェクターで壁に何かの模様のようなものが浮かび上がっています。そこに鑑賞者の影が幾重にも重なっています。部屋には何やら心臓の鼓動のような音が響きわたっています。

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部屋の中央に、何かが置いてあるので近づくと、そこには顕微鏡が!なるほど、プロジェクターによって映されていたのは、何かの細胞だったんですね。

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帰宅後、この展示について調べてみると、歌声合成ソフト『初音ミク』に細胞と遺伝子を与えるというバイオテクノロジーとアートの融合をコンセプトにした展示という紹介を見つけました。

展覧会では、「hmDNA」で共同制作された初音ミクのDNAをiPS細胞から作成された実際の細胞に挿入し、その細胞を使用したBCLによるインスタレーション作品『Ghost in the Cell』を展示。

共同制作された初音ミクのDNAってどういうこと!?正直よくわからない…けど、なんかすごい時代になりましたね。来年の3月まで展示を見ることができますので、これから金沢21世紀美術館に訪れる方は、ぜひ一見することをお勧めします。

kai-you.net

 まとめ

閉館時間10分前になると学芸員さんが一斉に「あんたら、はよ、帰りなされ」とは言いませんが、閉館体制に入り、あっという間に美術館の外へという感じでした。この記事で言いたいのは、ただ一つ。必ず時間に余裕をもって、美術館に行きましょうということです。

ちなみに金沢21世紀美術館は森美術館と直島の地中海美術館との提携で、無料パスを配布しています。3つスタンプを集めると、グッズがもらえるようですので、学生の間にコンプリートしたいと思いました。

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ちなみに金沢ではほかにも『泉鏡花記念館』などにも足を運びました。その感想は以下の記事にまとめています。

kinako18.hatenadiary.com