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The Cat's Pajamas

旅と読書をこよなく愛する平成育ちの猫好きです。自分の好きなことだけをのんびりぽつぽつ紡いでいく趣味ブログを目指しています。

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映画に関するオススメ書籍5選 ―上級編―

映画で哲学してみませんか?

本や絵画や演劇に比べると、とても歴史の浅い映画という文化。たかだかた100年の歴史の中で、映画はそれを先行する様々なジャンルの学問と結び付けられ、論じられてきました。

今回は映画に関するオススメ書籍ー上級編ーということで、哲学の知識と合わせて、映画を知ることができる本を紹介したいと思います。前回の記事(中級編)に比べて、さらにディープなラインナップとなりますが、興味がある方はぜひ参考にしてください。

kinako18.hatenadiary.com

①ヴァルダー・ベンヤミン『複製技術時代の芸術』

 最初にお勧めしたいのがこちらの一冊、ベンヤミンの「複製芸術時代の芸術」です。映画がまだ無声映画だった時代、映画を論じたベンヤミンのこの論考は、同時代のアドルノと比べると、その後のメディア文化の発展を予期するような視野の広さをもって、映画という新しい文化を擁護しています。

実はとても短く、読みやすい論考なので導入としてもおすすめできる一冊です。ちなみにベンヤミンと合わせて、多木浩二氏のこちらの読本もお勧めしておきます。

ベンヤミン「複製技術時代の芸術作品」精読 (岩波現代文庫)

ベンヤミン「複製技術時代の芸術作品」精読 (岩波現代文庫)

 

ちなみに同時代に書かれたアドルノの映画評とはこちら。ホルクハイマーとの共著で、映画だけでなく当時のサブカルチャー(ジャズを含め、その他のアメリカ文化)を全面的に批判した内容になっています。こちらもとても有名な一冊ですので、読んでみて損はないと思いますよ。

啓蒙の弁証法―哲学的断想 (岩波文庫)

啓蒙の弁証法―哲学的断想 (岩波文庫)

  • 作者: ホルクハイマー,アドルノ,Max Horkheimer,Theodor W. Adorno,徳永恂
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2007/01/16
  • メディア: 文庫
  • 購入: 4人 クリック: 89回
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②ロラン・バルト『映像の修辞学』

フランスの現代思想家ロラン・バルトの映画論。バルトは映画を愛していた人ではないのですが、映画に関して、とても興味深い論考を残しているので、引用されることがとても多い方ですね。とくに読んでおきたいのは「第三の意味」という論考です。そのほかにも面白いものがありますが。

映像の修辞学 (ちくま学芸文庫)

映像の修辞学 (ちくま学芸文庫)

 

 こちらと合わせて『明るい部屋』という写真論を読むことをお勧めします。

明るい部屋―写真についての覚書

明るい部屋―写真についての覚書

 

ちなみにバルトは、本当に面白い。この人は哲学というジャンルに収めるのは、少し違う気もしますね。『恋愛のディスクール』とか『零度のエクリチュール』とか、休日の昼間に紅茶とかすすりながら、カフェで読みながら、ナルシシズムに浸るにはうってつけですね。

恋愛のディスクール・断章

恋愛のディスクール・断章

 

③アンリ・ベルクソン『創造的進化』『笑い』

正直これは映画論ではないんですよね。ただ映画と哲学というジャンルにおいては、隅に置くことができない本。ベルクソンは自分の哲学を語るために比喩的に映画を使用し、批判的見解を述べていくわけですが、決して映画そのものを批判しているわけではありません。

創造的進化 (岩波文庫 青 645-1)

創造的進化 (岩波文庫 青 645-1)

 

ちなみに薄く読みやすい一冊としては『笑い』が読みやすく、映画に関しての記述もありますのでお勧めですよ。確か中級編で紹介した長谷正人氏の本に、この『笑い』を引用した論考があった気がします。こちらを先に読んでいた方が楽しめるかもしれませんね。

笑い (岩波文庫 青 645-3)

笑い (岩波文庫 青 645-3)

 

④ジル・ドゥルーズ『シネマ1』『シネマ2』

映画と哲学といえば、ドゥルーズの『シネマ』でしょうか。1は運動イメージ、2は時間イメージと扱う題材が異なっています。とても分厚く、各所で引用されたり論じられたりするこの本は、一度は読んでおきたいと思っても、なかなか手が伸びない本でもありました。

私もすべてをきちんと理解しているわけではないのですが、全体を通し読みした印象としては案外読みやすい、という雑感を抱いております。哲学というよりも、一つのエッセイとして楽しんでしまってもよいかもしれません。

シネマ 1*運動イメージ(叢書・ウニベルシタス 855)

シネマ 1*運動イメージ(叢書・ウニベルシタス 855)

 

ただ既存の映画の題名や監督を知らないと難しいと思います。興味がある方は、とりあえずさらっと全体を通し読みするとよい気がします。こういうのを熱く詳細に語れる三十路になるのが夢ですね。

シネマ2*時間イメージ (叢書・ウニベルシタス)

シネマ2*時間イメージ (叢書・ウニベルシタス)

  • 作者: ジルドゥルーズ,宇野邦一,江澤健一郎,岡村民夫,石原陽一郎,大原理志
  • 出版社/メーカー: 法政大学出版局
  • 発売日: 2006/11/15
  • メディア: 単行本
  • 購入: 2人 クリック: 125回
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⑤スタンリー・カヴェル『目に映る世界ー映画の存在論についての考察』

現存するアメリカの哲学者スタンリー・カヴェルの映画論。30年代、40年代の映画の輝きを論じている点が非常に興味深く、映画というメディアを考察するにあたり、さまざまな材料を提供してくれる一冊になっていると思います。読みごたえはありますが、ドゥルーズやベルクソンを読むよりも、ずっと口当たりの良い、映画好きによる映画評として消化することができます。オススメです。

眼に映る世界―映画の存在論についての考察 (叢書・ウニベルシタス)

眼に映る世界―映画の存在論についての考察 (叢書・ウニベルシタス)

  • 作者: スタンリーカヴェル,Stanley Cavell,石原陽一郎
  • 出版社/メーカー: 法政大学出版局
  • 発売日: 2012/04
  • メディア: 単行本
  • 購入: 1人 クリック: 18回
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その他+α

ここで中級編で紹介したアンドレ・バザン『映画とは何か』も再度お勧めしたいところです。さらに合わせてエイゼンシュテインの『映画の弁証法』を挙げておきます。

映画とは何か(上) (岩波文庫)

映画とは何か(上) (岩波文庫)

 

 映画における長回しを語ったバザンとは異なり、モンタージュの有用性を論じたエイゼンシュテインの論考。どちらも今読むと、新たな発見がある古典だと思います。

映画の弁証法 (角川文庫)

映画の弁証法 (角川文庫)

 

 原題に立ち戻り、他にも映画を論じる知識人をあげるならば、フレドリック・ジェイムソンの名前が挙がります。映画を論じるというよりも、映画を材料にするという側面が強いように思われ、個人的にはそれほど思い入れがない人でもあります。

カルチュラル・ターン

カルチュラル・ターン

  • 作者: フレドリックジェイムスン,Fredric Jameson,合庭惇,秦邦生,河野真太郎
  • 出版社/メーカー: 作品社
  • 発売日: 2006/08
  • メディア: 単行本
  • 購入: 1人 クリック: 18回
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ただ最近、ジェイムソンの映画論が訳されたのも注目に値しますね。ジェイムソンの英語はとても読みにくく、私のような人間ではとても処理できないので、邦訳が出てくださることは本当にうれしく感じます。

目に見えるものの署名: ジェイムソン映画論 (叢書・ウニベルシタス)

目に見えるものの署名: ジェイムソン映画論 (叢書・ウニベルシタス)

  • 作者: フレドリックジェイムソン,Fredric Jameson,椎名美智,武田ちあき,末廣幹
  • 出版社/メーカー: 法政大学出版局
  • 発売日: 2015/06/08
  • メディア: 単行本
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そのほかスーザン・ソンダクも映画好きな知識人として名前が挙がる方ですね。『書くことロラン・バルトについて』という本の中に、短い映画に関するエッセイがあります。

書くこと、ロラン・バルトについて―エッセイ集 1/文学・映画・絵画 (エッセイ集 1 文学・映画・絵画)

書くこと、ロラン・バルトについて―エッセイ集 1/文学・映画・絵画 (エッセイ集 1 文学・映画・絵画)

 

ちなみに哲学という視点から少し離れ、カルチュラル・スタディーズという視点から映画を読むのであれば、必読本としてあげたいのがこちら『映画理論集成』シリーズ。これが邦訳されていなかったら、国内の映画研究どうなっちゃうんだろう…というくらい有名どころの映画に関する論考が収録されています。

映画理論集成―古典理論から記号学の成立へ

映画理論集成―古典理論から記号学の成立へ

 
「新」映画理論集成〈2〉知覚・表象・読解 (知覚/表象/読解)

「新」映画理論集成〈2〉知覚・表象・読解 (知覚/表象/読解)

 
「新」映画理論集成〈1〉歴史・人種・ジェンダー (歴史/人種/ジェンダー)

「新」映画理論集成〈1〉歴史・人種・ジェンダー (歴史/人種/ジェンダー)

 

眉をひそめて映画を見るのが嫌い!という方には、少し倦厭されてしまう記事だったかもしれませんね(汗)。対照的に、今まで映画をただの娯楽と倦厭されていた方には、新しい発見を与えることができる本ともいえるかもしれません。私としては、できるだけ多くの人に映画の魅力を、知ってもらいたいなと思うばかりです。

何か参考になるものがあれば幸いです。最後まで読んでくださり、有難うございました!

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