台中で有名な小籠包の店で「ヒトリ寂シクナイノ?」と店員さんに問いかけられた話

私はもともと一人旅が好きで、十代のころは国内へ、二十代のころは国外へ思い立ったらすぐに旅行に行くのを趣味にしています。

勿論、友達と旅行することも好きなのですが、私としては一人旅と団体旅行では楽しみ方はまるで違うと考えているのです。

簡単にまとめると

  • 団体旅行は緩いスケジュールで一緒に行く相手との仲を深めることが目的
  • 一人旅は多少ハードなスケジュールで旅行先をマイペースに楽しむことが目的

となります。

例えば、私は温泉などに行くと、全部の湯につからなければ気が済まない面倒なタイプです。

なので一人で旅行に出るときはハードでも自分の行きたい場所にガンガン行き、温泉を一日4つほど巡ります。

一人旅が好きという人は、一人で作業したり、マイペースに動くことが向いているのかもしれません。

最近ではよく

  • 「男に生まれたかったなあ」

と思うのです。

治安や性犯罪を気にせず、好きな場所にヒッチハイクや旅行に行ける特権に憧れや悔しさを感じるからでしょうね。

つまり私はこれまで

  • 女一人旅ということをかなりポジティヴにとらえていた

のですが、この台湾旅行で、ふと自分の旅の在り方を問い直すきっかけがありました。

それは、台中で有名な小籠包のお店

  • 沁園春にお邪魔したときのこと

でした。

台中の美味しい小籠包の店(沁園春)の写真

このお店は台中にある有名店。

お昼時に並ばなくても余裕で入り、食事をとることができました。

立地も駅へと続く大通りをまっすぐ行った先にあるので、地図があればすぐに見つけることができます。

来店すると、さっそく店員さんに

「アナタノ、オカアサンは、日本人デスカ?」

と聞かれたので

「はい、日本人ですよ」

と答えたところ、写真付きのメニューを持ってきてくださいました。

日本語を話せる若い店員さんが多く、観光客慣れしている印象でした。

素晴らしいです。蟹入り小籠包と、人気があるという謎のスープを注文すると、お茶もサービスでもってきてくれました。

台中の美味しい小籠包の店(沁園春)の写真

ちなみに以前の記事にも書いたのですが、台湾はとても親日な国なんです。

日本人とわかると「勉強シテマス!」と日本語を早速使ってみようという店員さんが、にこやかに話しかけてきてくれたりします。

見たところ国内で日本アニメの需要が高いらしく、電車に乗ると男子高生がスマホで日本のアニメ(たぶん、あれは『ハイキュー‼!』)を並んで見ていたりします。

道で迷子になったときに助けてくれた台湾人の方が『ちびまる子ちゃん』や『ドラえもん』を見て何十年も育ったと仰っていました。

私たちの世代であれば、日本のサブカルチャーに対する感覚はあまり変わらないのかもしれません。

このときも二人の店員さんとお話していたのですが、彼らは日本に来たことがないけれど、日本が好きでいつか旅行に行きたい!と語ってくれました。

そんなことを考えていると、料理が到着。

これが滅茶苦茶おいしかった。

台中の美味しい小籠包の店(沁園春)の写真

台湾で食べたものの中で一番おいしかったものは?と聞かれた真っ先に「沁園春の蟹小籠包!」と即答するくらいに美味しかった。

で、美味しい料理に舌鼓を打っている私のところに、日本語で対応してくださった男性店員さんがいそいそ近づいてきて

「オイシイ?」

と尋ねてきたんです。

私はとっても幸せな気持ちだったので、満面の笑みで

「美味しいです!」

と即答したんです。そんな私に店員さんは、また尋ねました。

店員「ホントニ~?」

私「はい!」

店員「楽シイ?」

私「すっごく楽しい!」

店員「ホントニ~?寂シクナイノ?」

私「え……?」

店員「ヒトリ、寂シクナイノ?」

台中の美味しい小籠包の店(沁園春)の写真

「…」

すごくおいしいけど、一人だと量が多すぎて飲みきれないスープを前に、私は考えました。

ホストの世界では、女性に聞いてはいけない質問があるといいます。それは彼女の仕事や年齢、彼氏の有無について根掘り葉掘り尋ねることです。

何故なら、現実世界の辛さを忘れさせ、お客を夢の世界へと導くのがホストの仕事だからです。

でも、彼は違います。彼は、ただの台湾にある小籠包が美味しいお店の青年でした。

私「すごく、楽しいですよ。小籠包も美味しいし!」

店員「…」

私「台湾の方もすっごく優しいから、うれしいです!」

店員「でも、寂シクナイノ?」

私「全然、寂しくないですよ!」

店員「デモ、一人デ、カメラ、パシャパシャ…」

台中の美味しい小籠包の店(沁園春)の写真

「…」

一人ではなかなか食べきれない小籠包を前に、私は考えていました。

確かに最近、旅行に行った時の写真の量が増えました。

今まで、それを寂しいと考えたことはありませんでした。

インターネットの発達によって、自分の日常をいともたやすく公開できるようになった今、こうして自分の旅行経験を誰かに伝えることができます。

友人や家族とはLINEでいつでも連絡をとれます。

しかし一方で、すぐ隣にいる誰かと感動を共有することの素晴らしさを、見失ってしまうこともあるかもしれません。

でも、私は違います。

私は一人旅を好きで選んでいるし、本当に寂しくなんかなかったのです。

私「写真撮るのも、好きだから楽しいですよ!」

店員「ホント?アナタ、寂シクナイノ?」

私「(まだ聞くんかい…)」

店員「アナタ、独リボッチ…」

私「そう、ですね…」

店員「彼氏、イナイノ?」

私「いない、ですけど…」

店員「一緒ニ旅行、彼氏、イナイ」

私「…」

店員「寂シイヨ」

台中の美味しい小籠包の店(沁園春)の写真

皿に流れ落ちる黄金色の肉汁を見つめながら、私は思い出していました。

一人で石垣島に行ったとき、川平湾のグラスボードに乗っていたのが、私と一組のラブラブカップルだけだった時のことを。

年端のそう変わらない女の子が、船底に見える鮮やかな色をまとった小魚に向かって「見て見て!かわいい~♡」と言いながら、彼氏のジャケットの裾を引っ張っている向かい側、私はほぼすっぴん黒髪一本縛り、700円のダサい屋台のおばちゃんがつけているのと同じウェストポーチをつけ、どろどろになった真っ黒のスニーカーを履きながら、無言で一枚だけ写真を撮り、夕飯に飲むオリオンビールのことを考えていた唯一、一人旅のむなしさを感じてしまったあの瞬間のことを。

ちなみにこれがその時の写真なのですが、

悲しいことに、魚が一匹も写っていませんでした。

石垣島のグラスボートの写真

ちなみにこのとき、私は一瞬で、それこそ海底に沈んでいくように思考を巡らしていました。

石垣島のグラスボートの写真

思えば二十代になって、海外に一人旅に出るきっかけになったのは、失恋でした。

あのときフィリピンで一人でおいおいと号泣しながら、あまじょっぱい熟れたマンゴーを食べていました。

私は失恋してからは自分をさらにダメにするように泣き続けていました。

「ヒトリ、寂シクナイノ?」

まるで記憶喪失だった人間が自分は何者かを思い出すように、色々な思いが走馬灯のように脳裏を過っていきました。

もうあんな恋愛はしない。

男性に夢中になってしまうような、自分の弱さをさらけ出してしまいたくなるような恋愛は、絶対しないようにしよう。

自分の女々しい部分を嫌うように、スカートをはくのをやめて、ズボンばかりを好むようになりました。

毎日ヒールで通学していたのが嘘のように、汚いスニーカーを履きつぶし、洋服は年に数回ユニクロで調達するのみ、クリスマスは論文に追われて失念、誰もいないつけ麺屋さんで麺をすすっていたときラジオの内容で初めて「メリークリスマス!」と聞くほど、何もかも投げやりでした。

「ヒトリ、寂シクナイノ?」

招待された結婚式で、幸せそうに笑っていた友人のことを思い出しました。

旅を趣味にしていて、色々なところに二人で訪れたことが、一番の思い出です、と語っていました。

カンボジアで出会った一人旅の女性は、一人旅は大好きだけど、イタリア人の彼氏と旅行に行くときは色々な国に行ける、と教えてくれました。

旅の思い出を、この小籠包の美味しさを、今この瞬間に分かち合える誰かがいればいいのに。

そう思うことの方が、もしかすると自然なことなのかもしれません。

「ヒトリ、寂シクナイノ?」

聞かれて迷うことなく、寂しくない、と即答していた。

そのことがもしかすると本当に寂しいことなのかもしれない…。

そのとき店員さんが口にした一言で、私の思考は一気に、闇の深海から光導く現実へと浮上したのでした。

石垣島のグラスボートの写真

店員「モッタイナイヨ。オ姉サン、美人ナノニ…!」

私「あ、すいません、小籠包もう一つお願いします」

台中の美味しい小籠包の店

沁園春

立地☆☆☆☆

味☆☆☆☆☆☆☆

接客☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆彡

ということで女性一人旅の方は、素晴らしいCPを誇り、日本語で接客対応ができ、さらには店員さんが女性が喜ぶポイントをばっちり心得ている安心接客で出迎えてくれる沁園春にぜひ、足を運んでみてください!!!

寂しさを繰り返し問われ、闇落ちする可能性があるかもしれません。

が、自分の在り方を問い直す良いきっかけになるかもしれません。

台中に行くことがあれば、もう一度行きたい美味しさ。

>>沁園春の口コミ|トリップアドアイサー

色々書きましたが、私はやっぱり一人旅が大好きなんです。

けど未来の旦那と子供と一緒に行けるように気合を入れて、この春まずは脱ユニクロします(反省)

それでは!

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コメント

コメント一覧 (21件)

  • こんにちは、はじめまして!
    ひょんなことから、こちらに辿り着き、読まさせていただきました。
    私も1人旅好きです。
    読んでいてなんだか共感できてしました。
    寂しくなんてないですよね!
    1人は1人の良さがありますもん。
    去年3回台湾に1人旅に行きました。
    台中に行きたいと思っているんです(^_^)
    なので、このお店行ってみたいです。

  • YSさん
    コメント有難うございます(^^)共感してもらえて、嬉しいです!
    一人旅は、思いついたままフラフラと何処にでも行けるのが良いんですよね。
    ぜひ台中に足を運んだ際は、このお店に立ち寄ってください!

  • はじめまして。
    年1回、個人旅行で台湾を訪れている者です。
    文章があまりに魅力的で読み入ってしまいました・・・
    今週末、台南へ行く途中で台中に寄るのですが、昼食を取るところを探していたので、この「沁園春」絶対に行こうと決めました!!!
    他の記事も拝読させて下さいね。

  • 宙さん
    コメントありがとうございます!面白い考察といってもらえて嬉しいです(笑)ぜひ台中に行く機会がありましたら、行ってみてください!

  • yumikoさん
    コメントありがとうございます!あまりに魅力的、とのお言葉、照れてしまいますね(笑)嬉しいです!「沁園春」のお料理は勿論のこと、お店の雰囲気もとても良かったので、心からお勧めできます。
    もっと読者の方に喜んでいる記事を書こうと励みになりました。ぜひほかの記事も読んでいただけると、嬉しいです!

  • こんにちは。
    予告どおり、沁園春で蟹小籠包などなどいただいてきました。
    たどり着いたのが13時過ぎで、14時から休憩ですと言われたのであまりゆっくりは出来ませんでしたが、しっかり食べて来ました。
    いや~アツアツのたぷたぷで本当に美味しかったです。
    今まで食べた小籠包の中でも群を抜いていました。感激です。
    その男性店員さんはどなたかわからなかったのですが(笑)、おばちゃん店員さんがいろいろ世話してくださって、本当に良いお店でした!!!

  • Yumikoさん
    再度、コメントありがとうございます!蟹小籠包、お気に召したようで何よりです!また台中に行く機会があったら、もう一度行きたいと心から思えるほど美味しかったので、この記事を見て、お店に行こうと思ってもらえたのはとても嬉しいです(^ ^)
    店員さん、私もまた今度行った時会えるかどうか(笑)ここのお店に限らず、台湾の店員さんは皆、すごく優しい印象でした!これからもお互い良い旅ライフを送れると良いですね!

  • 現在、台中に単身赴任で住んで4か月、美味い小籠包はどっかないかと探してたらヒットしました。ハテナさん、おもろいです。私も一人の寂しさは時に感じることもあるりますが、心の強さと優しさがあれば、ハテナさんもきっと大丈夫です。さ、私もここの小籠包食べにいこー。

  • 次の海外一人旅は台湾にしよう!と思って検索してて辿り着きました。こんにちは!
    一人旅の自由さが大好きなんですが、確かに食事量は残念な事になりますよね。
    つい最近NYに行った時、やはり同じような経験をし、現地のおじさんに「サミシクナイノ?カレシハ?」と色々つっこまれアンニュイな気分になりましたが、酒を二杯奢ってくれたので許しました(笑)
    寂しくないと言えばウソになりますが、一人だからこそ味わえる醍醐味がありますよね!!
    私も是非、この小籠包を食べに行きたいと思います。
    今から寂しくないかと問われた時のベストアンサーを熟考しておきます。

  • うろやぎやぎさん
    コメント有難うございます!折角のコメントに気づいておらず、返信がこんなにも遅くなってしまったこと、申し訳ないです。
    心の強さと優しさというのは、すごく素敵な響きのする言葉ですね。
    台中での単身赴任、御身体に気をつけて、頑張ってください。御感想、有難うございました!

  • 猫舌さん
    コメント有難うございます!私と同じようなエピソードをもっていらっしゃって、思わずくすりと笑ってしまいました。
    一人旅は、旅先で見知らぬ人と交流できるというのも楽しみの一つなんですよね。しかし寂しくないといえば、嘘にもなってしまう笑 難しいところです。
    台湾の一人旅は、気楽に行けてオススメです。美味しい小籠包、ぜひ食べて来てください。

  • 読みながら笑ってしまいました(笑´∀`)
    文才有りすぎです!
    1人の面白さ、楽しさが解るから
    2人になったとき、家族を持って沢山になったときを楽しめるのだと思います
    一人旅は確かに男性の方がリスクは少ないですが、女性に生まれた以上変われないし、そういうもんだと納得してグイグイ進んでいく方が楽しい気がしてます
    40になると男とか女とかでなく、面白い人・つまんない人の方が重要デス
    まだ一人旅楽しんでますか?
    近場にはあまり行ったことがないのですが
    これよんで台湾行こうかと思ってます(●´ω`●)

  • マリンさん
    お褒めの言葉、有難うございます!楽しく読んでいただけたのなら、幸いです(^^)
    一人旅、最近では完全に開き直って決行してます。これからも行きたいところにはガンガンいくつもりです(笑)
    若いうちはどうにも性別というものが柵になりがちですが、歳を重ねるごとに、そういった生来的な性を超えたところで、自分の強みや魅力を持てたらと常々思っています。
    マリンさんの言う通り、今後、もし一緒に趣味を楽しめるようなパートナーに出会えたら、一人の時間が長かった分、とても大切にできるような気がしますね。
    その日を気長に心待ちにしています。
    ぜひ台湾旅行行ってみてください!
    そしてまたブログを見に来ていただけたら、幸いです。
    それでは、長々と失礼致しました。

  • はじめまして。
    楽しく拝見させていただいております^^
    ヒトリ寂シクナイノ?
    にはPCの前で一人笑わせていただきました。笑
    それでも一人旅は好きです^^
    この夏、台湾旅行をぼんやり考えていましたが、すごく行きたくなりました。
    ありがとうございます♪

  • pericoさん
    コメントありがとうございます!
    私も店員さんに「ヒトリ寂シクナイノ?」と尋ねられた時は、思わず吹きました(笑)
    私もなんだかんだで一人旅好きなんです。友達に誘って!とすごく怒られるんですけどね(笑)
    台湾旅行の女一人旅は、とてもおすすめです。
    楽しんできてください(^^)

  • ふと、一人で旅に出たいと思い、
    このブログにたどり着きました。
    文章のうまさに引き込まれ、自分の過去の失恋に思いを巡らせティッシュを目に当てつつ読み進めておりましたが最後爆笑!
    おかわりするんかい!!

  • ねかちもさん
    コメント有難うございます。
    ティッシュを目に当てていただいたねかちもさんの感傷をぶち壊すオチを用意してしまい、済みませんでした(笑)
    本当にこの小籠包、美味しかったんです。
    海外でしたら、台湾の一人旅はなかなかお勧めですよ。
    失恋ネタは多いので、またほかの記事も読んでいただければ、幸いです(^^)有難うございました。

  • 超激務な仕事してて、ほっと休みになって
    GWどうしようか迷っていました もともと一人旅好きなものです
    男ですが(笑)
    たまたまブログ読んで、また台湾行こうと思いました。
    今日の便も韓国LCC経由で行けそうだし。いってみます。
    ありがとう。

  • アキさん
    此方こそ、コメントありがとうございます!
    お仕事お疲れ様です。
    久々の旅行となれば、かなり楽しめると思います。
    私もまた台湾には旅行に訪れたいなと常々考えていますので、羨ましいです。
    思い立ったら吉日!
    ぜひ台湾で、良い時間をお過ごしくださいね(^-^)

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